【ヒトヒフバエの幼虫を自分の体で飼育した男】探検昆虫学者 西田賢治さんの凄み

こんにちは。相変わらず ビザが降りないので家と図書館を往復する日々を過ごしています。井家です。

 

受験大戦争のときに、勉強の合間の読書が何よりも面白かったので以降 読書にはまっていますが、その中でも好きなジャンルの一つに「偉人」というものがあります。マザーテレサや宮沢賢治、ライト兄弟など 、ほかの人達に多大な影響を与えた人たちや、各分野において画期的な発見や発明をした人達の生い立ちなどを読んでいると、自分とは違った考え方などを学べることも多いですし、なによりもドラマチックなこともあったりして感動するんです。ワタクシ「おもしろくってやくにたつ 子どもの伝記 ナイチンゲール」では 2度 涙を流しております。号泣でした。

 

 

そんなわけで偉人の話が大好きなんです。しかし残念なことにちょっと最寄りの図書館では蔵書数が少ないもので、そんな過去の偉人に関する書物はすべて読み終わってしまったのです。。

 

そういうことなら、と思い付いたのが現代に生きる人で、個人的に偉人と判断した人をまとめて、その人の奇抜さや凄みを再考しようと思ったので今回の記事を書くに至りました。今回 紹介したいのは表題にもありますように、探検昆虫学者の西田 賢治さんについてです。すごいですよこの人。NARUTOでいうところの油目シノ。昆虫使いです(違います)。

 

 

 

西田 賢治さん とは

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西田さんは1972年 大阪府に生まれました。

なんと中学校を卒業後 15歳で単身 アメリカに渡り、アメリカの大学で生物学を専攻しました。すんごい行動力。その後 中米の国立コスタリカ大学で昆虫学を専門に学んで、蝶や蛾の生態をメインに研究して博士号を取得しました。

 

 

探検昆虫学者

そんな西田さんを語るうえで欠かせないのは、彼が探検昆虫学者であることだと思います。

 

昆虫探検学者というのは英語で「Explortatory Entomologist」と呼ばれています。西田さんによると、その発祥はハワイ諸島で、生物防除(生き物を使ってほかの生き物を自然に近いかたちで制御する)のために、ある種の生き物の天敵になりうる昆虫を探す昆虫学者に対して授けられた呼び名であるそうです。超クール。。

 

わかりやすい例としては沖縄のマングースでしょうか。明治時代にはハブの毒を消すための血清がなく、ハブによる被害は重大でした。その際 ハブの天敵として用意されたのがマングースでした。これも私は生物防除の一種だと思います。(まぁ、このマングース作戦は大失敗に終わったそうですが、、、、)

 

 

昆虫による生物防除

昆虫による生物防除は主に 植物などに対して行われていることが多いそうです。もちろん、昆虫に対しての生物防除もあるようですが、調べた限りは外来植物などに対して行われていることの方が多かったです。

 

ウチワサボテンは中南米原産で、葉がウチワ状に幅広く、刺のある大形のサボテンである。1840年頃、オーストラリアへの移住者が持ち込んだ1鉢が元で、 多くの人により広域に培養されるようになった。とくに牧場などの生け垣として利用されたものが逸出して、1910年には1000万エーカーに蔓延し、 1925年には6000万エーカーにおよんだ。これを駆除するため、カッター、ローラー、薬剤やガスなどが使われたが、効果が低く費用もかかり過ぎた。
そこでオーストラリア政府は1920年から、このサボテンを食害する昆虫を探索する要員をメキシコ、インド、南アフリカほかに派遣した。そして多くの種 類の昆虫がもたらされたが、抜群の駆除効果を示したのは、アルゼンチンから輸入したサボテンガ(メイガ科)であった(1925)。このガの幼虫は群生して 茎葉にもぐり込み、表皮を残して全部食べてしまう。その放飼地では、3年後にはサボテンを完全に制圧するという
オーストラリアのクインズランド州ドルビーの町では、このサボテンガの功績を讃えて1965年に記念館を建て、大きな石碑にその由来を刻んでいる。

 

引用:農薬工業会:16.除草技術のあゆみ(4)昆虫による除草

 

カッターやローラー、薬剤にガスによる人による駆除作業が効果が低かったのに対して、サボテンガ(メイガ科)の駆除効果のなんと高いこと。。放飼地では3年後に防除対象のサボテンを圧倒する有能っぷり。。ちょっと恐ろしくなりますね。。。

 

 

昆虫による生物防除のメリット:特化性

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そんな防除効果抜群な虫による生物防除のメリット、というか特徴は「昆虫は、ある特定の食糧に特化している」ということでしょう。無論 アリやハチなどの色々なものを食べる例外はいますが、先述のようにサボテンのみを食べることに特化したサボテンガなど 「これしか食べられないよ」という種類が多いということは昆虫の特徴だといえます。

 

食物連鎖を思い浮かべてください。ヒトはピラミッドの上でも頂点に近い種類ですね。あなたはどんな食事をとられるでしょうか。牛肉を食べれば魚肉も食べますし、野菜はトマトやキュウリ、ピーマンなど とても多くの種類を食べますね。ライオンなんかも肉食ですが、ガゼルやシマウマなどいろいろな種類の動物の肉を食べます。

 

それに比べて昆虫は、ある食糧に特化していると西田さんの著書「わっ!ヘンな虫」で解説されていました。オオカバマダラチョウの幼虫はトリワタという仲間の植物しか食べないそうです。私が子供の時に刺されたチャドクガという蛾の幼虫なんかはツバキ科の植物の葉しか食べません。

 

というように、昆虫はある特定の種類の生物に対して特化した防除性があるので、先ほど紹介した沖縄のマングースのように肝心のハブ以外の在来種を襲って絶滅危惧種にさせてしまうという致命的な防除失敗のリスクが低いそうです。ちなみに沖縄諸島の生態系でトップになってしまったマングースは自然繁殖を繰り返してしまい、今では駆除対象になってしまったそうです。

 

 

西田さんのヤベーところスゴイところ

つづいては西田賢治さんのヤベーところ改めすごいところを紹介させていただきます。 

 

 

目の良さに定評のある西田さん

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昆虫を見つける目の良さには定評があるのが西田さんらしいです。著書のラベルに書いてありました。

実際 コスタリカのセロ・デ・ラ・ムエルテ(直訳で 死の丘)という熱帯雲霧林で初めて昆虫調査に向かった際に、早速 新種のジャノメチョウを発見したそうです。標高3000メートルに位置するセロ・デ・ラ・ムエルテのような厳しいコンディションでは採取が難しいこともあるのか、それ以降はこのジャノメチョウは見ていないそうで、生態は謎のままだそうです。なにこの神秘。ワクワクすっぞ。

 

 

擬態能力

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引用:ハチ旅

 

昆虫は捕食者の鳥やトカゲなどから身を守る、というか発見されないように周囲の環境に溶け込みます。これは「擬態」と呼ばれています。 

 

西田さんも擬態は得意なようで、コスタリカの首都サン・ホセの危険地区に行くときは薄汚い、貧しいような、あやしいような恰好をして現地に溶け込む格好をされるそうです。森にいくときは、ジャガーなどの捕食性の哺乳類があまり好まないよな色合い(イチゴヤドクガエルのような色と西田さんは仰っています)の警戒色で身をつつむようにしているそうです。学ぶところがふんだんにありますね 西田さんの擬態能力

 

 

写真が上手い

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引用:第3回 西田賢司は虫と暮らしている

 

画像はユーリヌス・マグニフィクス(コウチュウ目:ゾウムシ科:ヒメゾウムシ亜科)というゾウムシの一種。後述しますが、西田さんの研究している「虫こぶ」という虫がつくる「こぶ」で育ったゾウムシ。すごくないこの美しさ?はじめてこの写真みたときは数秒間 凝視しました。息は辛うじてしてたと思います。

 

なお、これ以外にもとーっても綺麗で格好良い写真がいっぱいあるので、昆虫が好きな人は引用のリンクに飛んでみてください。虫が好きなら 本当に興奮するような写真であふれていますよ。最近 見つけたウェブサイトではぶっちぎりでナンバーワンのお気に入り度です。まじで すごい

 

あまりの美しさに説明が長くなってしまいましたが、西田さん 写真を撮るのがメチャクチャ上手なんです。

 

 

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これは私が昆虫採取にいったとき撮ったカブトムシの写真です。個人的には大満足の写真なのですが、西田さんはユーリヌス・マグニフェスのように、このカブトムシよりも数段 小さい昆虫をこの写真よりも高い完成度で撮れるのです。ちょっと凄すぎますよね。なお、この写真のカブトムシは一度採取したあとに、本来カブトムシのいるべきところではない針葉樹の幹につけて撮影しましたが、西田さんはできるだけその昆虫がいた場所で自然の姿を撮影しているようでした。

 

シャッター速度を遅めにすると自然光が被写体の昆虫をやさしく包んでくれるので良い写真になる、とおっしゃっていましたが、何秒くらい息を止めていられるのか気になりました、、

 

たまに撮影した昆虫写真の展覧会などを開かれているようなので、機会があれば是非 訪れてみたいと思いました。

 

 

昆虫の幼虫を自分の体で飼育したことがある

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ウマバエ(ヒトヒフバエ)という家畜や人に寄生する昆虫について知っている読者は何人いることでしょうか。鬱屈した青春期を過ごした方なんかは2ちゃんねるのグロ画像スレとかで名前は聞いたことのある人もいることでしょう。私もその一人です。たしかYoutubeで「検索してはいけない言葉」という動画で知ったのだと思いました。動物に寄生するハエの幼虫(うじ虫)というだけで結構 キますよね。間違っても画像検索してはいけません。蓮コラと同じくらいヤベー画像で満ち満ちていました

 

これ☟

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引用:entnemdept.ufl.edu

 

もうすこし見たい人は、引用元のサイトで見てみてください。画像検索はマジでお勧めしません。。

 

 

で、探検昆虫学者の西田さん、このヒトヒフバエの幼虫を自分の体で飼育したことがあります。すげーよもう。満場一致ですごいよこの人(涙)

 

「気づいたら寄生されてた☆」

 なら私もギリ理解できたんですけど、西田さんの場合は

 

「お、ヒトヒフバエ住んでるやん(体に)。
うーん……そうだ!  大学に成虫の標本ないからこの際 成虫になるまで飼うか(決心)」

というように自分の血肉(正確にはリンパ液)をヒトヒフバエに与えて 成虫になるまで見守るつもりだったそうなんです。ヤベースゲーよこの人

 

なんでもヒトヒフバエというハエは直接 人に卵を植え付けるのではなくて、飛んでいる蚊をつかまえて卵を植え付け、その蚊が吸血中に蚊の体から寄生主に移動するそうなのでヒトヒフバエの成虫っていうのはなかなか人目にはつかないそうなんです。 そういう標本的価値からヒトヒフバエを飼育しようという昆虫学者、昆虫探検家としての並々ならぬ情熱。もう私には測りかねますが、世界で活躍する人というのはどこかに常人には理解されないところがあるのかもしれませんね。。

 

 

あ、ちなみに飼育したヒトヒフバエは2匹いたらしい(驚愕)ですが、両方とも死に別れています。一匹は羽化の直前の蛹になる段階で西田さんの体から脱出した際に綿に絡まってしまっての事故死だそうで、西田さんは著書で「悲しい、、、」という悲痛なことを仰っていました。まじでしゅごいこの人、、、

 

 

マイナー超難度 蛾の虫こぶと研究している

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虫こぶ、という単語についてはどのくらいの人が知っているのでしょうか。私はまったく知らなかったです。簡単に説明させていただくと、虫こぶというのは葉や茎など植物の内部に入り込んだ昆虫の幼虫が、ある特定の器官に刺激を与えてその部分の成長をコントロールしながら発育させてできたもの、だそうです。上の画像も無視が作った「虫こぶ」です。ホントにすごいですよね昆虫。

 

そんな「虫こぶ」ですが、日本は世界的には「虫こぶ」を研究される方は比較的 多いそうなんですが、ガの作る虫こぶ、もとい虫こぶを作るガを専門的に研究している人は世界中にもほとんどいないそうです。

 

理由はいくつもあります。まず、虫こぶを発見するのが難しいですよね。上の画像の虫こぶは比較的 簡単に「あれ、これ虫こぶじゃね?」と思えるかもしれませんが、実際の大きさはとても小さいのです。ここには虫こぶがあります、とでも宣言されていたら探せますが、普通は目にもつかないような大きさですし、そもそもそれが虫こぶなのか花、果実なのかの判定も難しいところだと思います。

 

虫こぶを作るガというのは非常に小さいものが多いそうです。研究論文などに記載するには翅の模様や形などが分かる必要があるのですが、そもそものガが小さいので標本の作製は困難を極めるため なかなか人気がないそうです。私も子供の時、シジミチョウの標本を作ったことがありますが、大きなアゲハチョウやタテハチョウに比べて難易度が半端なく高かったです。翅が特に脆くて、子どもの私には最後までキチン鱗粉が残っていて、もとの形を維持している標本は作れなくってギャン泣きしていました。

 

ほかにも ハチなどの寄生虫に弱い、成長にかかる時間が長い、絶対数の少なさなどいろいろな難点があるようです。そんな困難な虫こぶですが、西田さんは「困難な方が挑戦のしようがある」ということを著書で仰っていました。一流のアスリートも同じような言葉を口にしますね。

 西田さんはこれに加えて「解明することの楽しさ」のような雰囲気が文章の随所にあったように思えます。不思議な「虫こぶ」のメカニズム。まだわかっていないことが多い神秘的な植物と昆虫の関係。これらを知りたいと思えるからの行動力だったりするのかもしれませんね。

 

 

 

まとめ

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ということで探検昆虫学者の西田賢治さんについてまとめてみました。

 

人並外れた昆虫愛、非凡な昆虫撮影技術、情熱溢れる研究心や定評のある目の良さ(昆虫を探す能力)などについて説明できていれば幸いです。

著書の「わっ!ヘンな虫」では何度も「生きた多様性が育まれるのには長い時間が必要」ということを述べていました。人間は自然の一部として生きていく他ないのですから、ゴキブリや蚊などを「害虫」とひとくくりにして考えるのではなく、ともに生きるものとして認識すべきなのかもしれないですね。

 

お子さんがいらっしゃる方は、ご自身が嫌いであっても子供から虫を遠ざけずに、森や林、近所のちょっとした公園で虫に触れさせてあげても良いのではないでしょうか。小さな虫たちとの触れ合いは、いのちがはかなくて小さなこと、それをつつみこむ自然の大切さなどに関心を持つようなきっかけになるように思えます。パソコンが日常に浸透したことによって、私たちはたくさんの情報を得ることになりました。情報が多いことは良いことなのかもしれませんが、それを処理する能力がないとパンクしてしまいます。そんな情報を処理する能力を養ってくれるのが自然と触れ合うことだと西田さんは著書の中でおっしゃっていました。

 

ということで、探検昆虫学者の西田賢治さんについてでした。

西田さんの著書「わっ!ヘンな虫」は子供をもつ方、または現在の情報過多社会に疲れた方に特におススメしたい本です。もちろん美しい昆虫やおもしろい形をした昆虫の写真も多いので、子どもへのプレゼントにも最適だと思います。